絶対に震えてはいけない→絶対に伝えてみせる

普段は物事に白黒つけたりしないのに、不安場面になるとすごい速さでこれは失敗だと決めつけてしまう。

社会不安障害の人の多くはおそらく他人に対してもおおらかで、客観的に物事を判断することができるので、「社会不安障害=白黒つけたがる」という図式を提示されても、ピンとこないかもしれない。

それはたぶん、白黒つけてしまうのは不安場面に限るからであって、しかもその判断がものすごい高速で行われてしまうことのせいで、本人が自覚できないせいかもしれないと最近は思う。少なくとも私自身はそうだった。

そうすると、「社会不安障害=白黒つけたがる」という表現は正確ではない。不安場面に関してのみ自動的に白黒つけてしまうと言ったほうがいい。

私は発表時に少しでも緊張し始めると、これは大失敗だ!と思ってしまっていた。すぐに過呼吸が起こり、体中が震えて、本当に発表が失敗してしまっていた。

その一瞬のうちに起こる「失敗だ!」と思ってしまう心理の動きに処理を施していく。それが治療の鍵を握っているのだと、治療が進行していくうちに認識するようになった。

ではどうしたらよいだろうか。

震えないようにすればいいのだろうか。

それは無理かもしれない。震えてしまうかもしれない。

そもそも、震えるのはそんなにいけないことだろうか。

震え始めて、即失敗ということはないんじゃないか。

そこのところの認識が間違っていたんだ。

震えようが震えまいが関係ない。

だから震えてもいい。

震えても失敗ではないんだから。

震えても成功させることはきっとできるはず。

なら、発表を成功させるとはどういうことだろう。

それは、伝えることだろう。

発表で与えられた時間内に研究内容を伝えることだ。

震えるかどうかは関係ない。

震えてしまって、それが大きな不安発作になってしまったら、それでも伝えることができるだろうか。

できる。不安発作は長時間続くものではない。

最後の数分でも話すことができれば、その時間内に伝えることができれば、成功させることができる。

 

そこで、私は3分で語りきることのできる発表も用意していた。

与えられた発表時間は20分。20分で終わる発表と3分で終わる発表のシナリオを用意していた。

実際の発表時はまず20分で終わる発表から始める。

不安が起こり、続けられなくなってしまったら、休止して呼吸を整える。どんなに遅くとも時間が終わる3分前までには治まるはずだ。

その後、3分間の発表シナリオを使って、伝えてしまえばいいのだ。

これなら絶対に成功する。

本当は1分間のシナリオも用意しようとしたが、さすがに1分間では無理でした。

3分あれば、ぎりぎり伝えることができる。ものすごく端的な内容になってしまうけれど、20分延々と意味を成さない発表(実はそういう発表が多かったりする)をされるよりずっとよい。

発表の過程で、不安発作が起ろうが、どうだっていい。最後に伝えきることができればそれでいい。

 

By: Michael Himbeault

イメージしたのは運動会のかけっこで転んでも立ち上がってよろよろと進みながらゴールを切る子供だった。

子供じゃないんだから。運動会じゃないんだから。とは思わない。

観る人はこういったドラマを求めているのだろうし。まっすぐゴールを切らなくてもいい。最後にゴールに達すればいい。

私が不安発作に襲われつつも、最後には立ち上がり、伝えきったら、これはもう感動モノに違いない。そう考えることにした。

震えるかどうかなんてのはまったく別の問題だった。伝えることが大切だったのだ。

絶対に伝えてみせる。

ここには実は自動思考がある。達成させる自動思考。

少しでも緊張したら即失敗と決めつける自動思考から、どんなに大きな不安に襲われてしまって、長い時間を回復に費やしてしまったとしても成し遂げ成功に導く自動思考。そんな新たな思考が根付き自動的に展開されるならさらに楽になるだろう。

  • 震え始めた → まだまだ平気。呼吸を整えて、体から力を抜き、話す速度を落とせば、続けられる
  • 不安が大きくなり声が出せなくなってしまった → 10秒ほど休んで、呼吸を整えれば、再開できる
  • 大きな不安発作に襲われて、残り時間3分 → 3分間のシナリオがあるじゃないか! これを使って、絶対に伝えてみせる。伝えてしまえれば大成功

どう転んでも成功させることができる。

  • その不安場面で何をすることが大切なのかをしっかりと認識すること
  • 3分間で必要とされている作業を遂行できるシナリオを用意しておくこと
  • 不安発作が起こることを常に想定しておくこと

これらが不安場面に際する前に行う心理を処理するとき大切になってくる項目なのだと思っている。

作成者: administrator

Mental health blogger, researcher, social anxiety/selective mutism survivor.