認知行動療法で一番はじめにやった訓練が、漸進的弛緩法や呼吸法などのリラックス術。
セラピストによると、
「これを一日に何度もこれを練習して、マスターすることが最も大切。いざ不安が発生し始めたときにすぐに使えるようにしておくのだ!」
と言うのは、体から緊張を抜くことができるようになれば、とりあえずは不安場面をこなせるようになるからだ。認知療法によって、新たな認知回路が根付くには時間がかかるが、リラックス術をマスターすれば、とりあえずは不安発作にまで発展するようなことはなくなる。
筋肉をひとつひとつ集中して引き締めたり緩めたりすることで、体と心をリラックスさせていくリラックス法で、特に社会不安障害の治療に効果的とされている。
どういうふうに効果的か。
これは訓練する前はなかなか本人は気がつかないのだが、不安が沸き起こるときは体の筋肉が張っていく。その張っていく感じが分かるようになる。その感じに気がつくようになれば、すぐに張りを抜いてしまえるようになる。
自分の体を自分の意思でコントロールできるようになるので、不安に呑まれてコントロールを失うようなことがなくなる。
具体的には、体の筋肉の一部分ずつにしっかり意識を集中させ、
引き締める → 緩める
の動作を繰り返すことで、自らの意思で力を抜き、自分の体をリラックスさせていく術を学習していく。
意識的に緊張状態を作っては、緩める。その繰り返しにより学習していく。
ヨガの呼吸法にも少し似ているかもしれない。でも、ヨガよりもずっと楽☆ 椅子に座ったままでも、電車の中でも、仕事中でもできる。
体と心は連動しているので、体の緊張を解く訓練を重ねて、マスターすることで、心の緊張も消えていく。
いざ、不安場面に際し、不安発作が起こり始めたような気がしたら、すぐにこのテクニックを使い、体と心から力を抜いてしまえばいい。
下のYoutube動画は私が暇を見つけては日々行っているもので、最近はさぼり気味だけれども、治療中は毎日何度も真面目にやっていた。
日本語のものも探したのだけれど、適切なものが見つからなかったので、以下私の超勝手な日本語訳です。
(0:00~1:08)
筋肉をきゅっと締めては緩めることで、体の緊張状態とリラックス状態の違いが判るようになります。
痛みを感じたり気分が悪くなったらやめてください。怪我をしているときはやらないでください。
すでに緊張状態にある場合は、Passive muscle relaxation technique (リラックスした状態を瞑想するテクニック)をお勧めします。
(1:09~1:31)
立っていても、座っていても横になっていてもかまいません。途中で楽な姿勢に変えてもよいです。
(1:32~1:46)
まず、呼吸からです。息を深く吸い、hold (息を止めて)してください。(三秒ほど息を止める)
(1:47)
息を吐いてください。息を吐くときに一緒に体の緊張を吐きだすようにしてください。
(1:47~2:50)
三回、同様に呼吸を繰り返す。繰り返すごとに、呼吸の速度をゆっくり、スローダウンしていく。
(2:51~2:59)
脚の筋肉から始めましょう。
脚の筋肉をすべて引き締めてください。さらに、さらに、強く引き締めてください。そして、引き締めたまま止めてください。
(3:00~3:19)
引き締めて、さらに強く引き締めて、もうこれ以上引き締められない、力を抜きたいと思うまでに引き締めてください。
(3:20~3:54)
力を脚から抜いてください。力を全てすっかり抜いてください。脚がルースで緩やかになっている、この感じ、リラックスしたこの感じを感じてください。この違いを感じてください。ついさっきまでの緊張と比べてください。このゆる~っとなった今の感じを味わってください。
(3:55~4:30)
次は腕に意識を集中してください。肩、上腕、前腕、に力を入れて、手は拳に握り締めてください。強く、強く、さらに強く、引き締めていってください。この緊張をしっかりと感じてください。そしてそのまま、張りを感じ続けてください。
(4:31~5:06)
腕から力を抜いてください。(脚のときと同様に)
(5:07~5:50)
再度、呼吸に意識を向けてください。ゆっくり、平坦な呼吸。息を吸って、リラックスした状態を吸いこんで、そして息を吐く。息を吐くときに緊張を吐きだす。これをゆっくり繰り返して呼吸してください。
(5:51~6:04)
次はおしりの筋肉。きゅっと引き締め続けて。
(6:05~6:13)
力を抜いてください。
(6:14~6:34)
背中に力を入れる
(6:35)
背中から力を抜く
(6:55~7:09)
胸とお腹に力を入れる
(7:10~7:29)
胸とお腹から力を抜く
(7:30~7:54)
最後に顔の筋肉を思いっきり引き締めてください。目を閉じて、顔の筋肉をギュッと皺くちゃになるくらい締めます。
(7:55)
顔から力を抜く
(8:05~終わり)
体中の筋肉をリラックスさせて、体が今どんなにリラックスした状態かを感じてください。ちょっとだけ残されていた緊張が流れ去っていくのに任せてください。
体がリラックスしている今のこの状態、これを感じて楽しんでください。
今のこの穏やかな呼吸を感じてください。
楽になった筋肉を感じてください。
ゆっくりと体を起していき、普通に動ける状態に戻しましょう。
最後に顔をやるのが気持ちいい。顔って、普段無表情にしているのか、筋肉を意識的に動かすことが少ない。意識的に引き締めたり緩めたりしてみると、すっきりする。