1992年、16歳の少女の両親が告発された。告発内容は、この16歳の自閉症の少女―Betsy―を両親が性的に虐待したという疑惑だった。その告発内容は、facilitated communication (FC) という援助手法を通して得られたとされる。FCは発語を困難とする人々がキーボードや文字盤および身体的補助を通してコミュニケーションを取ることを可能とすると謳われる手法であるが、FCから得られる発話内容は障害者本人が発するものではなく、介助者(ファシリテーター)から発せられていることが、科学的に示されている。
以下は Betsy の無実の両親を告発してしまったファシリテーターの手記を日本語要約したものである。
Boynton, J. (2012). Facilitated Communication – what harm it can do: Confessions of a former facilitator. Evidence-Based Communication Assessment and Intervention, 6(1), 3–13. http://doi.org/10.1080/17489539.2012.674680
ファシリテーターがFCの有効性を信じるに至る心理過程、さらに、FC実践の際、実際にはファシリテーター自身の思いがFCから得られる発話を紡いでいるにもかかわらず、補助を受けている者が発していると信じてしまう心理過程が詳細に綴られている。
“無実の家族を告発したファシリテーターの手記要約 Facilitated Communication (FC)” の続きを読む