現実と理想のギャップと向き合う

これまでの認知行動療法セッションを経て、私は自分が現実離れした理想を抱えているという事実に気づいた。
社会不安障害を患う人には完璧主義的な考えを持った人が多いと言われるが、そういう傾向があると仮定すれば、それは同時に非現実的な理想を掲げているということでもあろう。

非現実的な理想とは何か。

それは実現することが不可能な理想だ。

したがって非現実的な理想は実現できない。

この単純極まりない認識に達することが私には長年できなかったのだ。あくまでも執拗なまでに非現実的な理想を実現しようと努め続ける。

するとどうなるか。非現実的な理想主義の結果は莫大な無力感。自己嫌悪。

これは努力が足りないのかもしれない。一層の努力を積めば実現できるのかもしれない。

  1. 理想実現に向けて邁進を続ける→
  2. それは実現されない→
  3. 深い自己嫌悪に見舞われ自分を責める→
  4. 社会不安障害の悪化→
  5. 1.に戻る

この悪循環が繰り返される。

私もまさにこの悪循環にはまっていた。

学会で発表するなら、聴きに来た人たちが新たな知識レベルに到達できるように完璧な新たな知見を提供しなければならない。

私はなぜかそんな非現実的な理想を掲げていた。

そんなの無理なんだよ。と自分に言うことができたのは、認知行動療法を受けてからだった。

そうだろう。だいたい、聴きに来ている人たちだってそんな過大な期待なんて抱いていないんだ。ちょっとでも面白い部分があればラッキー♪くらいにしか思っていない。

それなのに、ひとりで勝手に過大な期待を抱き、完璧を目指し、発表して、発作を起こして、自爆する。

どうかしている。ほんとに。

国際学会なんてパーティーみたいなものだろ。

似た分野に興味のある研究者が、大学や研究所に旅費を出させて集まり、楽しく過ごす。それだけのことじゃないか。

そもそも、新たな知識レベルに到達するには本人が努力しなきゃいけないんです。学会の発表をちょっと聴いたくらいで、新たな知識レベルになんか到達できるわけがない。

学会のプレゼンを行って、研究者同士が最近の研究動向について楽しくコミュニケートできればそれで100点満点。

ようやくそんな認識に達することができた。すると学会を前にした緊張もすっと抜けていった。

投稿者: administrator

Mental health blogger, researcher, social anxiety/selective mutism survivor.