「自分についてどう思いますか」とジャネットさんが尋ねる。
自分について。
社会不安障害がある。
けど、それを除いては、私の人生は恵まれている。よい家族に恵まれ、研究も楽しく、好きなことがやれてとてもラッキーである。場面緘黙時代は大変だったけど、あれこれ文句言うとばちがあたると思う。
「社会不安障害のことを除いてはとってもハッピー」と応える。
では、不安障害のことだけですね~ということで、まずは呼吸法を習う。
呼吸を整えるだけで、かなりの不安をコントロールできるというのだ。
というのは、極度の緊張・不安・パニックは呼吸が速まることから始まる。
呼吸が速まることで、脳に信号が送られる:非常事態発生! 緊急避難準備開始!
危険だ。誰でも呼吸が速まる。脳に信号が送られる:非常事態! 逃げる準備をしろ!
その結果、体が震え、心臓はバクバクと高鳴り、パニック状態になる。
これを fight-or-flight response(闘うか逃げるか衝動:怖くなって体がその場から逃げ出す準備をする )というらしい。
本当にクマやサメに遭遇したなら、パニックになって逃げるべきだが、人前で話をすることは全く危険な状況ではないはずだ。これは体が間違った認識をしてしまっているために起こるのだ。
「だからね、『あっ、パニックが始まりそうだ!』 と思ったらすぐに息を止めてしまうといいの。そしてゆっくり呼吸する」
まず息を止めて5秒、次に3秒かけて息を吸う。そして3秒かけて息を吐く。息を吐くときに心の中でこうつぶやく 「落ち着いて。落ち着いて」
そうすれば、呼吸は整い、脳に誤った信号が送られることはないので、パニック状態にはならない。
おー! なるほど! これはうまくいきそうだ。
この呼吸法を毎日思いついたとき、できれば一日四回、一回につき10分ほどやる。そうすれば、いざパニックが始まりそうになったときすぐに使えるから。