場面緘黙児保護者を狙うHSCビジネスの拡大に伴う注意喚起

場面緘黙症とHSC(敏感・繊細な子)を結びつける記事を検索したら、この一年以内に書かれたものがたくさん出てきたので、簡単に注意喚起しておきたいと思った。

傾向のひとつとして、それらのビジネスは場面緘黙児を育てる保護者により運営されている。HSCで場面緘黙の我が子を克服に導いた親である私が教えてあげましょうというスタンスをとる。つまり、場面緘黙症やその他の不安障害の治療を実施する専門家ではなく、素人である。

もうひとつの傾向として、他の似非科学的な思想や療法を基にした「治療」や「カウンセリング」であること。「思考は現実化する」「親が変われば子も変わる」「栄養をサプリメントで取ればよくなる」など。結局のところ、昔からあるニューソート系の自己啓発セミナーやエビデンスに欠けた栄養療法を、HSCの流行に伴い焼き直した程度のものであり、新しいものではない。

もうひとつ。これはなぜだか分からないが海外在住者がネット上で集客するビジネスに多い。海外在住であることをセルフブランディングに利用して売り上げに繋げるのか、海外で収入に困って日本に住む日本人の場面緘黙症保護者を狙うのか、いろいろと事情はあるのかもしれない。

場面緘黙症の治療について検索すれば、様々なサイトに辿り着く。そのサイトに以下の特徴がひとつでもあったら、記事もサイト主も信用してはいけない。

・場面緘黙症とHSCを結びつけている

・HSC概念に無批判である

・NLP、栄養療法などを勧める記述がある

・場面緘黙の子ではなく親のカウンセリングをやろうとしている

・「私が我が子を克服に導いた知識であなたの子も克服できる」としている

・公認心理師や臨床心理士ではなく、海外の国家資格をもつクリニカル・サイコロジストでもない

また、無料セッションや無料お話会を開催しているのも怪しいものが多い。無料だと思って気軽に参加してしまったら、個人情報を収集されるだけではなく、徐々に有料のセッションに誘導されていく。さらには怪しい高額のカウンセラー資格を取得するように促される。自分は騙されないと思ってはいけない。相手は場面緘黙症治療の専門家ではない。洗脳術に長けた詐欺師である。はじめは無料のお話会で取り込み、人当たりのよい様子で警戒を解き徐々に洗脳していく。

フェイスブックグループの会員を募っているのも警戒したほうがいい。以前書いたように、フェイスブックは実名登録なので、障害のある子供がいる親の名簿が実質上タダで手に入る絶好の狩場である。胡散臭いカウンセリングビジネスの人が運営する保護者のための交流グループに入ったら、個人情報を渡してしまうことになる。

また、ブログに子供の様子を書き綴っていると、商売目的の人が親し気にコメントを書いてきたりすることがある。「私も場面緘黙児の保護者です」などとコメントされたら、つい仲良くなってしまい、誘われるままに….となりがちだ。それを狙っているのだ。

おそらくそのような詐欺的ビジネスは、最近は「HSC 場面緘黙」で検索する保護者が多いと見込んでいるのだろう。実は「場面緘黙症」単体で検索しても検索上位に信頼に値しない情報がいくつか出てくるので、信頼できる情報を求めているなら「HSC 場面緘黙」での検索を避けるだけでなく、ネット検索自体に頼らないほうがいいのかもしれない。

作成者: administrator

Mental health blogger, researcher, social anxiety/selective mutism survivor.