メールに一生懸命返信してしまう癖と向き合う

メールやメッセージを受信すると、うれしい、ありがたい、という気持ち以上に、どうもすぐに返信しなければならない気持ちになってしまったり、簡潔に書いてもいいのに長文の返信を書いてしまう癖がある。

返信してしまわないとどこか気持ちがそわそわしてしまって、仕事が手に付かない。この癖はどこか社会不安障害的だ思う。

この癖と向き合うために、先日私はいくつかのルールを設けた。

  • メール・メッセージ等は最低24時間おいてから返信する(仕事・緊急のもの以外)
  • 字数400字を上限にする(英文は300ワードとする)

なぜこんな妙なルールを作らなきゃいけないかというと、そうしないと癖が直らないからだ。どうしても直さなきゃいけないと思った経緯を書いたら、またかなり長くなる。しかし、これも努めて簡潔に書いてみたいと思う。

先月の下旬、ひどく忙しくなり、個人的なメール等に応える気持ちの余裕がなくなってきた。気持ちに余裕があれば、多少忙しくても簡潔に返信できると思う。けどそのときはもうできないと思った。

集中して打ち込まなければいけなかった。

絶対に成し遂げてみせる、とか、必ず解明してみせる、とか、身が滅んでもやるのだ、とか、そういった種類の思考が一日に100を超えて起こった。そのときふと気がついた。

こういうのはまずいのかもしれない。

こういった思考を持続することで気持ちを高めていって、さらに集中力も高めることで、困難に思えることでもやれることがある。そのときもそれでやってしまおうと思っていた。

がんばらなくていいのかもしれない。こういう癖があるからいけないのかもしれない。そう思ったが、同時にこうも思った。

やだ。がんばりたい。どうしてもやりたい。

さて、どうしよう。どうしたらいいんだろう。やめるか、このまま突っ走るか。

結果から言って、突っ走ることにした。

なぜかというと、

やらなければ、生きる資格もないと思っているか

と自らに問うてみたとき、そうではないとすぐに答えられたからだ。純粋にやりたいからやっている。だから、がんばってもいい。

子供の頃、なんでもものすごくがんばってやらなければ、自分には生きる資格もないと思っていた。今回がんばっているのは、生きる資格とかそういうのとは全く関係なくて、純粋にやりたくってしょうがないのだ。

それなら、大いにがんばればいい。がんばってはいけないなどということはない。

そう突っ走り始めたのはいいけど、いちどそうなってしまうと、他のことができない。個人的なメッセージに返信する余裕がないから、先手を打っておこう、そう思った。

メッセージがたまりがちなのはSNS。フェイスブックにログインして、メッセージに返信した後、「しばらく超忙しいのでメッセージの返信には一週間以上かかります」と愛想のない投稿を流しておいた。

もうこれで大丈夫。安心して仕事に集中しよう。

ところが。

2週間後に見ると、なんとたくさんメッセージが届いていたのだ。

なぜっ?!

すべては私の愛想のない投稿から24時間以内に送信されたものだった。あの愛想のない投稿が多量のメッセージを引きつけてしまったのだ。

なにしろ、ものすごく久しぶりにフェイスブック投稿をしたので、それを見たお友達の脳裏に、「おっ、あいつ久しぶりだな。なに、メッセージだって? そうだ、ひとつメッセージでも送ってやるか」のように想起したのだろう。こういう投稿を見る人々の心理的な動きを予測できずにSNS投稿してしまうとは私も修業が足りない。

ありがたいことではある。こんな変人の私と友達でいてくれて、その上、言葉をかけてくれるなんて。

なのに、なぜっ?!という第一反応はひどい。どうしようもないほどだ。

お友達はだれひとり、返信なんて期待していなかっただろう。一か月以上たって、「元気だよ」みたいな返信がひと言でもあればそれでいいと思っていただろう。

それなのに、返信しなきゃそわそわしてしまう困った癖のある私は、すべてにしっかり返信してしまった。

たとえば。

ベルギーに住むお友達。

「元気~? 久しぶりだねえ。 どうしてる? ところで、日本のスープはヘルシーでしかも美味しいね。作ってみたいけど、ダシとか呼ばれているものがあるようで、それがミソスープなどのジャパニーズスープとどう関連しているのか、いまいち分からない。本物の日本のスープの作り方が分かるようなリンクを知ってたら教えてね。材料はなんでも手に入るので、心配いらないヨ」

ダシのとり方は動画のほうが分かりやすいはずなので探したが英語のものできちんと作っているものはなかった。けど、見れば分かるものだから日本語でもよいはずなので、日本語のものを選び、分量だけ訳すことにした。

ダシとは日本のほとんどの汁物の基本となるベーススープであり、顆粒のものを使えば簡単にできる。けれども顆粒のものは欧米でかなり嫌われているMSGなのでヘルシー志向のあなたは使いたくないかもしれないが、決して危ないものではないので気にしなくていいと思う。本格的に作る場合は鰹節、昆布、煮干しを使う(リンク参照)。ここで大切なのはダシが沸騰したと思える直後に火を止め、濾すことである。そうしないと苦みが出てしまう。

そんなふうに、あれこれ、長々と続けてしまったのだった。味噌汁にまで話が及ぶころには、

ここでも同じく大切なのは味噌を溶かすときは火を止めることである。なぜなら、沸騰させてしまうことで風味が落ちてしまうから。使用しているのが生味噌の場合はせっかくの酵母や乳酸菌も死んでしまう。

そんな調子で私はさらに延々と書いてしまった。

そうです。おかしいです。地球の反対側にいるお友達の作る味噌汁の酵母や乳酸菌が生きているかを心配している。これは心配しすぎではないか? こうやっているうちに気がつくと1000ワード越えていたりする。

 

By: Paul Downey

こういうことをやるので、親切なんだねと言われることがある。けど、どうだろう。私は本当に親切なのだろうか。親切心からやるのか、それとも病んだ心から派生する癖なのか。

そこでまた自問: やらなければ、生きる資格もないと思っているか

そういうわけじゃない。ただ、もう自動的にあれこれとたくさん書いてしまう。

と言うのは、こうやって後になって反芻してみると、お友達の作る味噌汁のことをそこまで心配するのは行き過ぎだと自分でも分かる。衝動なのだ。

これは癖なのだ。幼少時から、がんばらなければ生きる資格もないと思い続けていたので、なにかをやるときは衝動的に突っ走ってしまう。

だから、親切なのとは違うように思う。親切心の本質とは何か、なんて難しいことは分からない。

妙に親切っぽい行動に走ってしまう癖がある。分かるのはそれだけだ。

そもそも、このベルギー人のお友達が私にメッセージをくれたのは、別の意味合いがあったように思う。ジャパニーズスープのことは、ついでに聞いてみただけだったように思える。

だって、いつでもこの人はそうだ。長く期間があいてしまう前に、「元気?」と聞いてくれる。ついでに、なんらかのトピックでメッセージが綴られている。

だから、たぶん、それは会話をするためのトピックであって、そのトピック自体について知ることが第一の目的なのではない。目的は会話を交わすことだったように思う。互いを忘れてしまうほどの時が経つ前に、心を通わせることだったんじゃないだろうか。

それなのに、私は内容やトピックに反応するロボットのごとく書き綴ってしまう。突っ走っているときは内容のその奥にある本質を見ていない。

なにか大切なことを忘れているのだ。衝動的に突っ走り、その間に本質を見る余裕がない。だから、こうなる。

これが、日常場面における私の不安の根底にあるように思える。

先日、パブで飲み会があった。

私はまたべらべらと喋ってしまった。ピエロのごとく。いや、ピエロは喋らないよね。なんでピエロって言ったんだろ。そうだ、エンターテイナーという意味でだった。

黙っていればいいのに、あれこれ喋り、後悔する。なにか失言をしたのではないか、とか心配する。

ほんと、黙って飲んでいてもいいの。ひと言も発する必要はない。だって、皆で集まって場所とビールを共有しているのですから、それだけで心を通わせることができる。

美容院だってそうでしょう。美容師さんが私に好きなタレントは誰かと聞いたときなどは、別にタレントの話をしたかったからじゃない。お客さんと会話したほうがいいかな、そう思っただけでしょう。

それなのに聞かれたこと、そのトピックにだけ反応してしまって、どうしよう、好きなタレントなんていない、テレビも見ないし、ああ、なんて答えたらいいんだろう、なんて焦る必要などはないのだ。

最近テレビ見なくって分かりませんね~、とか言って、ところでこのところ雨ばっかりですねえなどと天気の話にでも持っていき、会話していること、心を通わせていること、それ自体を楽しむようにすればよかったのだ。

そうだ。そうしよう。

これは画期的である。私にとっては画期的な意識転換である。もしかしたら、美容院にも行けるようになるかもしれない。

言葉を大量に返してしまう前に、私に言葉をかけてくれたその理由についてしっかり理解して、簡潔に心をこめて感謝を伝えられるようになりたい。

そういうわけで、これからはメールが来たら、最低24時間、そのメールについて心の中で熟成させるつもりだ。

投稿者: administrator

Mental health blogger, researcher, social anxiety/selective mutism survivor.