学会発表に挑む

そんなふうにして当日を迎え、自分の発表の番が来て、壇上に上がった。

そこまできても、不安にならなかった。緊張すらないように思う。なんだろう、不思議だ。以前と全然感覚が異なっている。

そしてそこまできて、あることに気がついた。

前のほうの席に座っている年配の人。

あの人だ...

今回の私の発表はある分野の理論に関してだった。

この理論を私は最終的には覆してしまおうと考えている。他の多くの学者もこの理論は問題が多すぎると言っている。

今回の私のプレゼンでは、この理論の問題点を次々に見せていき、それが解決できるような新たな枠組みを示す。

この問題点を孕んだ理論というのは、前の方に座っている年配の老人によって提唱されたものである。いわゆる大御所というか、大変著名な学者である。

これは困った。やりづらい。

けど、平気だ、と思うことにした。ご老体に鞭打つようなことをしてしまうかもしれないなど心配する必要はない。

何十年もアカデミアでやってきた人なんだから、批判はもう慣れっこでしょう。あまり著名になってしまうと批判してくれる人がいなくなってしまって、それ故、こういう機会は新鮮かもしれない。

そう気持ちが固まり、発表を始め、そして終えた。

最初から最後まで緊張しなかった。

呼吸にはとても気をつけていた。習ったように、ゆっくり息を吸い、言葉をゆっくりと出していき、息がもう出せなくなると、再びゆっくりと息を吸い...の繰り返しで終えることができた。

発表を終えてからの質問タイムも緊張せず、無事、全てを終えた。

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作成者: administrator

Mental health blogger, researcher, social anxiety/selective mutism survivor.